白い花が咲いたなら


 春のさえずり。

 夏の波。

 秋の艶めき。

 冬の透明。


 雨の静けさも、雪の冷たさも、風のささやきも、虹の光りも。


 人も、笑顔も、涙のしずくも。



 なんて素敵なんだろう。

 この世界は、こんなに哀しくて。

 そしてこんなに、美しい。

 なにもかも、これほどまでに価値がある。


 そして……



 わかってくれているよね? 近藤くん。


 あたしね、あなたが好きだよ……。




 あたしの意識は全てが純白に包まれて

 目の前の近藤くんの顔すら、消え去ってしまった。


 でも。



 彼の唇が、あたしの唇に


 確かに、触れた。






      【END】