「いい加減にしてよっ!!
あんたみたいな男、全然好みじゃないの。
ダサい高村のが数百倍はマシなのよ!!」
って叫ぼうとした。

けど、叫べない。

誰かの手が私の口を塞いでる。

「いい加減、しつこいですよ。

人の好みなんてそれぞれだし、
天野は僕を好きなんだから、それでいいでしょ」

高村だった。

「はぁ!?
お前みたいな男、まりあちゃんに全然似合ってねぇし」

「似合ってなくても、天野は先輩より僕が好きなんですよ。
負け惜しみはみっともないから、やめた方がいいですよ」


ほら、行くよっと言って高村が私の手を引いて、歩き出す。


とっくに帰ったと思ってたのに・・・

こんなヒーローみたいに助けてくれるなんて予想外すぎるよ。


繋いだ指先が熱くて、感覚がなくなりそう。