「まりあがいいならいいけどさ~。 まぁ、去年もすごかったもんね」

七海が言うと、風子がえへっと笑って打ち明けた。

「ごめん、まりあ。実は私も去年、参加しちゃった」

「えー。風子、最低!」

「あ、でもね。すっごい人だかりで顔なんて見れなかったんだよ!
本当だよ~」

七海の言葉に風子は弁解にならない弁解をする。

「正直さ、まりあレベルに可愛いと得する事より大変な事のが多いでしょ。
いつも強がってるけど、本当に嫌なことあった時はちゃんと言ってね?」

七海が頼もしいことを言ってくれる。
さすが陸上部次期部長だ!

「ありがと。でも本当に平気。
今は二人がいてくれるから、
毎日楽しいし!」

私は笑ってそう言った。
本当にそう思ってる。

二人がいてくれれば、ちょっとくらい嫌な事があっても全然平気。

「わわ、まりあにそんな風に笑いかけられると女の私でも落とされそう」

風子が冗談ぽく言う。

「どんなイケメンも一目で落ちるって看板に偽り無しだね~」


・・残念ながら、その看板は偽りありなのよね。

全然イケメンじゃないくせに落ちない男が一人。

私はそのたった一人の背中を見つめた。