裏アリ王子の彼女になりました(ニセの)

……たぶん。


雰囲気に流されちゃったんだと思う。


…………あたしが。


ニセカノだって分かってるのに。


このまま、ずっとこうしていたくて。


琉生くんからの甘い熱に浸っていたくて。


抵抗もしないで、琉生くんの胸元をギュッと掴んでた。


偽りの関係でも。


琉生くんは、こんなの何とも思ってなくても。


それでもよかったの。


今、この瞬間だけは、ウソじゃないから──…。