「はい、お待ちどう」
やがて運ばれてきたのは、僕がいつも注文する、焼き魚定食だった。
ご飯、お味噌汁、ほうれん草のおひたし、そして焼き魚。
魚はその時々で変わるが、今回は鮭だった。
「いただきます」
僕とレイは両手を合わせて、いつもの言葉を言った。
鮭をほぐして、口に運ぶ。
次にごはん、お味噌汁、というようにどんどん食べ進めていく。
ああ、いつもと同じ味。
なんというか、すごく美味しい家庭の味、という感じで、懐かしくて、やさしくて、安心する。
変わらないでいてくれる、安心感。
「美味しいです」
レイは呟くように、かみしめるように、言った。
「だよね。好きなんだ」
口数少なく食べ進めるレイを見ていると、僕も自然と笑顔になった。
「椎くん、楽しそうだねえ」
その声で振り返るとおばちゃんがカウンターで微笑んでいた。
僕は「そう見えますか?」と少し笑って答えた。
おばちゃんは微笑んで頷いた。
僕は何も言えなくなってしまった。
おばちゃんは、本当に嬉しそうに、安心したように、笑っている。
…なんて顔をしているのだろう。
僕はおばちゃんから顔を背けた。
なんだか胸がいっぱいになってしまったんだ。
僕のことを気にかけてくれていたんだと思うと、すごく、嬉しくて。
僕は黙ってごはんを口に運んだ。
すごく、おいしかった。
「ごちそうさま」
僕たちはごはんを食べ終わり、お勘定していた。
おばちゃんがニコニコ顔で僕とレイを見ている。
「どうしたの」
ちょっとムスッとして僕が聞くと、「いやあ、なにもないよ?」とおばちゃんはすっとぼける。
なにもないならそんな顔しないでしょ。
はあ、と僕は少し溜め息を吐いた。
「ただね、良かったなあって思ってね」
おばちゃんは急にふっと遠くを見るような目をした。
「椎くんが楽しそうに笑った顔、初めて見たから」
僕はまた何も言えなくなった。
こんなにも、僕なんかのことを、気にかけてくれている人がいる。
そのことが少し重いけど、その重みが暖かくて、嬉しくて、しかたがない。
やがて運ばれてきたのは、僕がいつも注文する、焼き魚定食だった。
ご飯、お味噌汁、ほうれん草のおひたし、そして焼き魚。
魚はその時々で変わるが、今回は鮭だった。
「いただきます」
僕とレイは両手を合わせて、いつもの言葉を言った。
鮭をほぐして、口に運ぶ。
次にごはん、お味噌汁、というようにどんどん食べ進めていく。
ああ、いつもと同じ味。
なんというか、すごく美味しい家庭の味、という感じで、懐かしくて、やさしくて、安心する。
変わらないでいてくれる、安心感。
「美味しいです」
レイは呟くように、かみしめるように、言った。
「だよね。好きなんだ」
口数少なく食べ進めるレイを見ていると、僕も自然と笑顔になった。
「椎くん、楽しそうだねえ」
その声で振り返るとおばちゃんがカウンターで微笑んでいた。
僕は「そう見えますか?」と少し笑って答えた。
おばちゃんは微笑んで頷いた。
僕は何も言えなくなってしまった。
おばちゃんは、本当に嬉しそうに、安心したように、笑っている。
…なんて顔をしているのだろう。
僕はおばちゃんから顔を背けた。
なんだか胸がいっぱいになってしまったんだ。
僕のことを気にかけてくれていたんだと思うと、すごく、嬉しくて。
僕は黙ってごはんを口に運んだ。
すごく、おいしかった。
「ごちそうさま」
僕たちはごはんを食べ終わり、お勘定していた。
おばちゃんがニコニコ顔で僕とレイを見ている。
「どうしたの」
ちょっとムスッとして僕が聞くと、「いやあ、なにもないよ?」とおばちゃんはすっとぼける。
なにもないならそんな顔しないでしょ。
はあ、と僕は少し溜め息を吐いた。
「ただね、良かったなあって思ってね」
おばちゃんは急にふっと遠くを見るような目をした。
「椎くんが楽しそうに笑った顔、初めて見たから」
僕はまた何も言えなくなった。
こんなにも、僕なんかのことを、気にかけてくれている人がいる。
そのことが少し重いけど、その重みが暖かくて、嬉しくて、しかたがない。


