「……あのさぁ、こんな事していいと思ってるわけ?」
思わず低い声が出る。予想外すぎて、逆に冷静だった。
「……っ……ごめんなさ……」
急に泣き出すカオルさん。その涙に、同情よりも先に苛立ちが湧く。なんで泣くんだよ、こっちが被害者だろ。
「カオルさん、何年生?」
「高2ですっ……っ……」
同い年か。そう思った瞬間、余計に呆れた。
「していいことと悪いことくらいわかるでしょ。俺、もう戻るんで」
そう言ってその場を離れようとした、その時だった。いきなり体に重みがかかる。
「……は?」
気づけばベッドに押し倒されていた。
「行かないで」
意味が分からない。なんなんだ、この女。
「どいてくんない?」
「好きなんです」
「俺は、好きじゃない」
「でもっ」
「俺は好きじゃない」
はっきりと、もう一度言う。曖昧にするつもりなんてない。その言葉のあと、またぽたぽたと涙が落ちてくる。顔に当たるその感触に、心底うんざりする。



