そんな中、野村が次の準備を始めると同時に、石原さんが立ち上がった。
「ジュース買ってくるね」
「俺も行く」
考えるより先に言葉が出ていた。
「え、そんな!いいよ!今井くんに迷惑かけられないよ」
「いや、迷惑とかじゃなくてさ。女子1人で何本も持てないでしょ」
そう言うと、石原さんは少しだけ顔を赤くして「ありがとう」と小さく呟く。
「俺、ファンタで!」
「めんどい。適当に買ってくるから」
後ろからいろんな注文が飛んでくるけど、全部無視する。
そんなのいちいち聞いてられない。俺はそのまま石原さんの手を軽く掴んで部屋を出た。
「石原さん、行くよ」
まだ少し戸惑っている石原さんの手を引いて、そのままエレベーターへ向かう。
後ろから聞こえる「オレンジジュース!」「コーラ!」なんて声は全部聞こえないふり。
エレベーターに乗ったところで、さすがに手は離すけど、さっきまでの感触が少しだけ残っている気がする。
「お菓子とか、いるよね」
「うん。だから、コンビニ行こ」


