【大幅加筆】クール男子の取扱説明書




*



「あ、来たきた!おせーよ、今井と佐倉」



ロビーに入った瞬間、すでに集まっていたみんなの視線が一斉にこっちに向いた。



「ごめんねーちょっと女の子とさぁ」



軽い調子で余計なことを言い出す渉に、反射的にツッコミを入れる。



「一々言わなくていいから」



さっきの出来事をわざわざここで話す必要なんてないだろ、と内心でため息をつく。



「女の子?」



案の定、その一言に反応したのは中村さんだった。さっきまでの柔らかい表情が一瞬で少しだけ険しくなる。ああ、だから言うなって言ったのに。



「いや、何も無いよ?舞琴ちゃん」


「ふーん?」



疑ってるのかどうか分からない、微妙な返事。その空気に居心地の悪さを感じながら、俺は渉の耳元に顔を寄せる。



「渉、お前馬鹿だろ」



小声でそう言うと、渉は「え~」なんてわざとらしく嘘泣きをしてみせる。本当に面倒くさいやつだ。これから中村さんは苦労するだろうな、とどうでもいいことを考える。



「まぁ、とりあえず……女子たち、俺らの部屋くる?」



涼太くんの一言で空気が一気に明るくなる。



「それいいかも!」



みんなが乗り気になって、そのまま流れるように部屋へ向かうことになった。