ぶつかった女子が床に倒れ込み、慌てて渉が手を取って立たせる。
「すいません~」
「大丈夫です。ありがとうございます!」
「ちょっと~、カオルなにしてんの」
「あ、サキ!今、ぶつかっちゃって」
「は?って、めっちゃイケメン!」
ぶつかった女子――カオルと、その友達らしいサキが渉を見て騒ぎ出す。
まぁ、渉は顔だけはいいからな、と内心で思う。
「別に、イケメンじゃないですよ」
渉は慣れているのか、軽く笑って流す。そのやり取りを後ろから見ていると、なんだか面倒になってくる。
「渉行くよ」
俺は後ろから一歩横に出て、渉の隣に移動する。
「え、なに!友達もめっちゃイケメン!」
「えっと……俺の友達が迷惑かけてすいませんでした。では、これで。渉行くよ」
必要最低限だけ言って、その場を切り上げる。こういうのは長引くと面倒だ。
「ちょ、祐月!待てよ!じゃ、さよなら」
後ろで慌てる渉の声と、バタバタした足音が追いかけてきて、すぐに隣に並んできた。



