「気持ちよかったな~」
湯上がりの少し火照った体に、脱衣所のひんやりした空気が心地いい。
サラサラの黒髪をタオルでワシャワシャ拭きながら、野村が満足そうに笑っている。
「今井、お前筋肉あるなー」
「普通じゃない?……人のこと言えないでしょ」
思わずそう返す。野村の方がどう見ても筋肉はあるし、しっかり引き締まっている。
「俺、バスケしてるもん」
あっさりとした返答に、なるほどと納得する。運動部の体つきってやつか。ちなみに俺と渉は帰宅部。とはいえ運動が全くできないわけじゃないけど、こうやって並ぶと差は分かる。
「今井の髪って、ふわふわしてんなー」
気づけば野村の手が俺の頭に伸びてきて、無遠慮に髪を触り出す。
「触んな」
軽く手で払うと、野村は「ケチ」とでも言いたげな顔をした。
「てか、早く着替えれば?」
そう言うと、野村は「はいはい」と無駄に二回も返事をして、のんびりと服を着始める。
そのマイペースさに少し呆れつつ、俺はまだ乾ききらない髪を気にしながら、椅子に座っている渉と涼太くんのところへ向かった。



