【大幅加筆】クール男子の取扱説明書




*



「祐月~風呂入ってくるぞ~、温泉だぞ温泉!!!」



ロビーで渉と二人きり。

柔らかい照明と静かな空気の中、俺はソファに腰掛けてテーブルに肘をつき、なんとなくぼんやりしていた。

頭の中はさっきからずっと同じことでいっぱいだ。

そんな俺の向かいで、落ち着きのない声を上げてはしゃいでいるのが渉。



「早く行くぞ!」


「え~」



正直、今はそれどころじゃない。

この旅行中に、石原さんにちゃんと気持ちを伝えたい。そのことばかり考えていて、温泉なんて正直どうでもいい。

でも、そんなこと渉に言えるはずもなくて、結局は流されるまま温泉へ向かうことになった。



ーーガラガラ……と扉を開ける音がやけに大きく響く。



「2人とも来たのか」


「おっす」


「涼太くん、渉うるさいんだけど」


「そいつ、まだうるさいの治んねぇの?」


「うるさいよな」


「3人してひどいよ!」



中に入ると、すでに湯船には野村と涼太くんが浸かっていた。

湯気がゆらゆらと立ち込めていて、ほかに客の姿はない。さっき見た時計は6時ちょうど。この時間はまだ人が少ないらしい。

少しだけ静けさに安心する。