「……今井くん」
静かに名前を呼ぶと、
「スー……スー……」
穏やかな寝息だけが返ってくる。
今井くんが――私の肩に寄りかかって、寝ている。
え、ちょっと待って。これはどういう状況!?
これは完全に――石原由良、緊急事態であります!!
「お、おーい……今井くーん?」
できるだけ小さな声で、そっと名前を呼んでみる。いきなり大きな声を出して起こしたら、こっちが驚かせてしまいそうで怖いから。
「今井くんー?」
「スー……スー……」
全く起きる気配がない。というか、さっきよりも深く眠ってない?むしろ完全に熟睡してるよねこれ。
「今井く……きゃっ!!」
もう一度呼ぼうとしたその瞬間、いきなり腕を引っ張られて、視界がぐるっと反転する。
気づけば、目の前が真っ暗になっていた。柔らかくて、あたたかくて、包み込まれるような感覚。
ふわっと香る、落ち着く匂い。
……これ、知ってる。この匂い。この距離。この感覚。修学旅行の時に、一度だけ感じたことがある。今井くんの――胸の中。
「……〜〜っ!!……い、今井くん!」



