【大幅加筆】クール男子の取扱説明書




*



「ただいま、学校」



校門をくぐった瞬間、思わずそんな言葉が口からこぼれた。ついさっきまで旅行先にいたはずなのに、もう日常に引き戻されたみたいで、少しだけ現実感がない。

あれから――飛行機の中でも、バスの中でも、私はずっと爆睡していた。考えすぎて疲れていたのか、それとも現実から少しだけ逃げたかったのか。理由は自分でもよく分からない。

ただ一つ言えるのは、そのせいで今井くんとほとんど話せないまま、修学旅行が終わってしまったということ。



「由良ー!」


「由良ちゃーん!」



ざわざわとした人混みの中で、聞き慣れた声が響く。

その方向に目を向けると、中村とのっちが手を振っていた。なんだかその姿を見ただけで、少しだけ安心する。



「どうしたの?」



近づいた瞬間、二人は何も言わずに私の腕を掴んで、そのままぐいっと引っ張った。



「ちょいちょいちょい!!」



あまりにも突然で、状況が理解できないまま引きずられるように歩かされる。バランスを崩さないように荷物を持ち直して、必死についていくしかなかった。

昨日のうちに荷物は家に送ってあるから身軽ではあるけど、それでも急に引っ張られると普通に大変だ。