「石原さん、そろそろ戻ろうか」
今井くんの声で現実に引き戻される。気づけば、私はずっと考え込んでいて、ほとんど会話もできないまま時間が過ぎていた。
せっかく二人でいたのに、何もできなかった。何も伝えられなかった。
そのまま水族館を出て、お昼ごはんも食べたけど、味なんてほとんど覚えていない。
ただ時間だけが過ぎていった。
「由良!」
聞き慣れた声に顔を上げると、中村とのっちが大きく手を振っていた。
「中村~!のっち~!」
思わず駆け寄ると、二人の手には大きな袋がいくつもぶら下がっている。
「……およ?」
「由良、あんたお土産なんにも買ってないの!?」
「はっっ!忘れてた!」
完全に忘れてた。
今日はもう最終日。これから空港に向かって、東京に帰るだけ。楽しかった時間が、終わりに近づいている。
「で?どうだったの?」
空港まで歩いて向かう道のり。私の両隣には中村とのっち。
前には、女子たちと今井くん、佐倉くん、野村くんの姿が見える。少し離れているけど、その背中はすぐに分かる。



