「え…あの彼女さんですか?」
お姉さんが少し戸惑ったように、こっちに向かってくる石原さんを見ながら聞いてくる。
「いえ。アタック中です」
軽く笑いながらそう答えると、「そうですか……では、楽しんでいってください」と、少しだけ残念そうに微笑んだ。
軽く会釈をして、もう一度水槽に目を向ける。キンギョハナダイが、何も知らないみたいにゆらゆらと泳いでいた。
「ちょっと、今井くん!私を置いていくってどうなの!」
「置いていくも何も、委員長と話してたでしょ」
石原さんが隣に並ぶ。お互いに顔は見ない。ただ、同じ水槽を見ながら言葉を交わす。
「そうだけど、でも私は――」
「嫌だった」
自分でも驚くくらい、あっさりと言葉が出た。
委員長と話しているのを見て、嫌だった。それ以上でも、それ以下でもない。
「今井くん……それって……」
石原さんの声が、少しだけ柔らかくなる。この感情が何なのか、正確には分からない。
でも――少なくとも、俺にとってプラスな感情じゃないことは確かだ。
「ヤキモチだよね?」
「………………………………は?」


