言葉にした瞬間、自分でも驚くくらいあっさり口から出ていた。もっと躊躇うと思っていたのに、不思議と迷いはなかった。
なのに、言われた側の石原さんは、ぽかんと口を開けたまま固まっている。その表情があまりにも間抜けで、少しだけ緊張がほどけた。
「今井くん……私今、心臓止まりそう」
ようやく絞り出したみたいにそう言う石原さんに、「止まってもいいけどね」なんて軽口で返してみせるけど、正直こっちのほうが心臓止まりそうだ。
思った通りの反応が返ってきたのに、全然余裕なんてない。
むしろ、今の一言で全部持っていかれた気がする。
……なんていう、心の中での情けないツッコミはひとまず置いといて。
「今井くん、私達2人だね!」
ぱっと表情を明るくして、石原さんはそう言った。
その声には隠しきれない嬉しさが滲んでいて、こっちまで引っ張られそうになる。どうしてこの人は、こんなに分かりやすく喜ぶんだろう。
どうしてこんなに、俺といることを楽しそうにできるんだろう。
……ああ、そうか。好きだからか。
そのシンプルすぎる答えに気づいた瞬間、さっきよりもずっと大きく、心臓が鳴った気がした。


