戸惑う声を最後まで聞く前に、俺はそのまま進行方向とは違う道へ走り出した。
「ちょっちょちょちょ……ちょ」
たぶん、「ちょっと待って」とか「ちょっと何してるの」とか、いろんな意味が混ざってるんだろうけど、今の俺にはそれに答える余裕なんてなかった。
むしろ、止まったら全部なかったことにしてしまいそうで、それが怖くて走り続けている自分がいる。
走りながら、頭の中ではぐちゃぐちゃに言い訳を探していた。
なんで連れ出したのか、どう説明するのか、何て言えば自然なのか。でも考えれば考えるほど、どれも言い訳っぽくてしっくりこない。
「はぁっ……はぁ……」
後ろから聞こえてくる荒い呼吸に、ようやく少しだけ冷静になる。さすがに走らせすぎたかもしれない。
「はぁ……って…ブッ!!」
急に立ち止まった俺に、そのまま勢いで石原さんがぶつかってきて、背中に柔らかい衝撃が伝わる。
「はぁ……はぁ……」
息が上がっているのは石原さんだけじゃなくて、俺も同じだった。
自分で走り出したくせに、思っていた以上に息が切れていて情けない。


