「野村、単独行動したら許さないから」
こいつに一人でどこか行かれると困るのだ。迷子になるに決まっている。そして、石原さんも同じ。
「石原さんも、はぐれないでよ」
「はぐれませーん!今井くんとずっと一緒にいます!」
「そう」
そっけなく返したつもりだったけど、きっと頬の緩みは隠しきれていないだろう。横にいる渉と野村のニヤけた顔が目に入ると、少しムカつく。
「祐月ー、いつ告るの?」
「は?別に石原さんのこと好きなんて言ってないでしょ」
「誰も由良ちゃんなんて言ってないけど?」
「……。」
こいつ……。まぁ、隠す必要もないのかもしれない。
今日の班別行動で、俺は自分の心の中の名前を、はっきりと言葉にしたい。だから、今日こそは石原さんの目を見て、自分の気持ちを確かめたいと思っている。
「じゃ、みんな行こっか!」
石原さんの元気な声で、歩き出す。歩きながら、石原さんの笑顔を横目で見て、胸の奥がまた熱くなる。
無意識に手のひらが少し緊張して硬くなっているのがわかる。今日、ちゃんと自分の気持ちに向き合おう。


