「考えただけで頬緩むとか……好きなヤツじゃねぇとありえねぇよ」
渉のその一言が、思った以上に胸に刺さる。
思わず固まってしまった俺は、一瞬口を開くのをためらった。
「……は?」
自分の心臓が早鐘のように打っているのを感じる。思わず自分の手を握りしめてしまった。
そう、つまり……俺が石原さんのことを、知らず知らずのうちに好きになっている――そんなことを渉に指摘されてしまった。
「祐月って、好きな人っていったら誰を思い浮かべる?今、誰が思い浮かんだ?」
渉の問いに、俺の頭の中は一瞬で真っ白になった。
思い浮かぶのは、ただひとつ。
石原さんの笑顔。
あの笑顔で、俺に向かって話しかけてくる顔が、一番最初に思い浮かんだ。自然に、無意識に浮かんだその顔を見て、心臓の奥がきゅっと締め付けられる。目の前が少し熱くなって、息が詰まるような感覚さえした。


