「本当に分かってないんだね、俺一応ナンパしてたんだけど」
「な、なななナンパ!!!これってナンパだったんですか!?」
「じゃなかったらなんなの!」
「いや、ただ話しかけてきただけかなって!」
私の挙動に爽やかお兄さんはケラケラ笑う。
「高校生たくさんいるけど、もしかして修学旅行とか?」
「あ、そうなんです!」
「ふーん……だったら、抜けない?」
爽やかお兄さんが私の肩に腕を回して立ち上がろうとした瞬間、
「ちょっと、どこ行こうとしてんの」
その腕を掴んだのは……
「今井くん……!!」
「修学旅行中の生徒をナンパですか?その腕離さないと人呼びますよ」
今井くんはドスの効いた声で睨みつけ、爽やかお兄さんは驚きすぎてすぐ腕を離し、どこかへ行ってしまった。
「今井くんありがとう…」
「はぁー……何してんの石原さん」
小説だと、あそこで「俺の彼女に手出すな」みたいなことを言われるんだろうな。
「ニヤニヤすんな」
おっと……変なことを考えてたら頬が緩んでたみたい。
「石原さん」
「ん?」
「もっと、危機感持ってよ」
「なんのこと?」
「自分がナンパされてるってわかってた?見ず知らずの男と楽しそうに会話してさ。女の子なんだから、そういうとこ気をつけなよ」
今井くんの真剣な目を見てると……なんか、私のことを大切にしてくれてるみたいで、心臓が壊れそう。
私のこと嫌いって言ってたくせに、ちゃんと女の子扱いしてくれる今井くん、やっぱり優しい。
うん、私……やっぱり好きだな……。



