「い、今井くん!」
「……。」
「今日も、変わらずかっこいいですね!」
緊張で心臓がバクバクする。2人きりで話すのが恥ずかしくて、取り繕うようにそんなことを口にしてみると、今井くんは少し目を細めて「今日初めて話したみたいな言い方だね」と返す。
まぁバスの中でも少しは話したんだけど……。
「ねぇ、今井く…」
その時、私たちの足元にビーチボールがコロコロ転がってきて、女の子がこちらに向かって走ってくる。
「え、あ!今井くん……」
女の子は顔を真っ赤にして下を向く。今井くんは素早くビーチボールを拾い上げ、笑顔で女の子に手渡す。
「どうぞ」
女の子は照れながら「ありがとう」と小さく言って走り去った。
その光景を見て私は、思わず「今井くん……また無意識に好きにさせちゃって……」と呟く。
「なんのこと?」
「だぁぁっ!!今井くんのバカ!」
今日何回バカって叫んだんだろう私!!
「何故か今日、何回も石原さんにバカって言われてる気がするんだけど」
少しだけ今井くんに睨まれたのは気づかないふりをしよう。



