『……妃奈。あたし、強くなりたい。喧嘩とかの強いじゃなくて、何があっても動じない強い心を持ちたい。

人に頼らなくても自分の力で解決出来るような、そんな強い心を持ちたい』



強い心。

それが今のあたしに足りないもの。


なりたいと思ってもそんなにすぐなれるものじゃないけど、常にそう思っていれば少しずつでも強くなっていける様な気がするから。



「……なれるよ。凛音ちゃんならきっと強くなれる。 だから、一緒に頑張ろう?」


『妃奈……』


“頑張って”じゃなくて、“一緒に頑張ろう”って言ってくれる妃奈はやっぱり最高の友達だ。


妃奈が傍で見守ってくれるのなら、あたしはどんな事があっても乗り越えられる気がするよ。



『妃奈、ありがとう。もしウジウジしてたら一発殴ってね?』

「うん、分かった!鍛えておくね!」


『え、ホントに殴るの?』


両手をグッと力一杯握りしめた妃奈に一歩後退すると、拳を前に突き出してふふっと笑う妃奈。


笑ってる妃奈を見るとあたしも嬉しくなるよ。


本当にありがとうね。妃奈。


「妃奈、帰ろっか!」

「うん。帰ろう、リンくん!」



手を繋いで、並んで階段を下りていく。





『……あ、妃奈。さっきから気になってたんだけど、呼び方“凛音”になってるよ?』


「凛音ちゃんこそ声“リン”くんなのに口調は“凛音ちゃん”だよ?」


『………』


「………」


『……俺は男、俺は男、俺は男……』


「ふふっ」



これからも、こんな風に妃奈と一緒に笑い合って生きて行きたい。


喜びも哀しみも分け合いながら生きて行きたい。


ずっとずっと、一緒に居たい。