十夜達に真実を告げた事は後悔していない。


後に、あの日の事を冷静になって考えたけど、いくら考えてもあの答え以外には辿り着かなかった。


あのまま喧嘩が続いていたとしても結果は同じだったと思う。


真実を明かさなければ十夜達は引き下がらなかった。


どっちにしろ告げなければいけなかったんだ。




貴兄がどうするつもりだったかは知らない。


煌に引き止められた時みたいに無理矢理あの場から去ろうとしてたのなら、あたしが考えていた通り同じ事の繰り返しになっていただろう。


運良くあの場から立ち去れたとしても、十夜達はまたあたしの元に現れる。


納得のいく理由を言わない限り、去って追われての繰り返し。


だから、あの時真実を告げた事は間違っていないと思う。


十夜達の為にも言った方が良かったんだ。


そう思ってはいるものの、あたしの心はモヤがかかったみたいにスッキリしなくて、笑っていても心の底から笑えていない気がした。


あれで良かったんだと自分に何度言い聞かせても、心が完璧に晴れる事はない。



皆の事は忘れない。

でも、思い出にするにはまだ日にちが浅すぎる。


もう少し、

もう少し時間が経てば心から笑って過ごせる。



皆と過ごした半年間楽しかったって、笑って話せる日が来る。


心にも余裕が出来て、皆の顔を思い出しても笑える日がきっと来る。


そんな日が来ると信じたい。