後で考えれば、施設長さんは私の正体をもしかしたら知っていたのかもしれない。

 早々にその場を後にした私を施設長さんは見送ってくれました。敷地から出ると神野くんたちも気付いてフェンスから離れました。

「もういいのか」

「あぁ、というより今日はここでやめだ。明日から本格的に動く」

「情報屋、あのさ…」

「ハルって呼べ。呼びにくいだろ」

「え、あ…うん。ハル…さん」

「さんなんかつけんな。アキ、こいつの連絡は任せるから」

 雷斗くんがしょぼんとしているような…。

 ごめんなさい。加減できなくて…。

 神野くんは苦笑いして頷いてくれました。

「明日、13時にあの公園に来い。遅れたら置いてく」

「分かった」

「了解です…」

 神野くんは普通ですが、雷斗くんは完全に傷ついています…。

 あう、ごめんなさい。

 これ以上一緒にいると更に傷つけてしまいそうなので、早々に立ち去りました。