フェンスにもたれて帰りを待つ。

「…なぁ、ここって…」

「孤児院だよ」

「なんで情報屋はここに」

「情報屋は、報酬のすべてを福祉施設に寄付してんだ。で、あいつの1番がここ」

「そんなことを…」

 大宮は印象が変わったのか、少し表情に余裕が戻る。

 でも、おひさまの家を見つめる目はかわいそうだという様な視線で、その視線を避けるように下を向いた。

 親がいないからって、それが不幸だと思わないでほしい。

 晴野も、俺も本当の親の愛を知らない。
 でも、それを埋めてくれた大切な人がいる。
 その人たちがいれば、充分だって思えるくらい、幸せだから。

 ハルが戻って来るまでの間、俺はずっとうつむいていることしか出来なかった。

秋空side END