「しばらく飛ばすから!」

 そんな言葉と共に頭に何かが被せられました。

 目を開けると雷斗くんの横顔が少しだけ見えて、助かったんだと自分の気が抜けていくのが分かりました。

 危ないと分かっているのに、勝手に力が抜ける腕に必死に力を込める。

 しばらく走っているとバイクは徐々に失速して、やがてがやがやとした場所で止まった。

「あれ、雷斗戻ったのかぁ?」

「総長呼んで来い!よもちゃん見つかった!!」

「え?なんだって!?」

「よもが!?」

 ゆっくりと目を開けると、バイクにまたがったまま後ろ手に私を支えてくれる雷斗くんがいて、私の手は雷斗くんから離れてしまっているのが分かりました。

 …ここは、どこでしょうか…。ずっと目を閉じていたせいで分からない…。

 でも、ざわざわとし始める周囲と集まって来た人たちの顔にここが嵐鬼のたまり場だと頭が理解する。

 理解した途端、体は力を失って、雷斗くんが慌てて支えてくれる手を強くしてくれましたが、体が言うことを聞かない…。