妬こうよ、そこはさ。

奥さんという呼び名は、俺が最初に呼び始めて定着した。彼女は俺に合わせて旦那さんと呼ぶ。


別に名前を呼ぶのが嫌な訳じゃない。


ただ、奥さん、旦那さんという呼称は、俺が好きな呼び方で。

うちの妻が夫が、主人が、かみさんが、とか名前呼びとかよりずっと、奥さん、旦那さんのほうが柔らかい雰囲気があるような気がする。


何より、奥さんと言うことは、俺の中で名前で呼ぶより強い意味合いがあった。


その位置にいるのが君で良かった、という意味が含まれているような、

自分の奥さんでいて欲しいからそう呼ぶような、


そんなささいで願掛けみたいな意味を込めて、彼女を奥さんと呼んでいる。


好きだとか愛してるだとかは上手く伝えられないけど、日常でよく使う言葉に特別な思いを込めれば、少しはこの気持ちが伝わらないだろうか、と淡い期待を持って。


思考回路が似ているから、もしかして奥さんもそんなことを思っていてくれはしないかと、勝手に願っている。


俺にとっては、「奥さん」と彼女を位置づけるとき全てが、無意識にしろ意識してにしろ、ああ好きだな、と感じたとき。


「奥さん」でいて欲しいとき全てが、好きだよ、と彼女に伝えたいときなのだ。




そうだね、があれば充分だった。

熱っぽい眼差しがあれば充分だった。

互いに心地よさがあれば、それで構わなかった。


今までもずっと、これからもきっと。