妬こうよ、そこはさ。

……分かってないんだろうな。


分かってないけど一番暖かそうなの着て来たんだろうな。


で、言い出しっぺの俺に確認を取っただけ、彼女にとっては本当にただそれだけなんだろうけど。


暖かそうなことよりも、まず丈がきっちり長いことに真っ先に気付いた、目ざとくてずるい俺が。


……どうしようもなく安堵してる、なんて。


彼女はきっと、分かっていないんだろう。


「行ってきます」

「うん。冷えるし、早く帰ってきたら」


嘘。嘘だよ。


俺が心配でたまらないから、

君に早く帰ってきて欲しいから、


だからどうか、早く帰ってきて。


「分かった」


情けなさに苦しくなる。


玄関を開けた彼女に、せめてもと。


「……行ってらっしゃいとか、言わないから」


聞こえたらいいのにと、そっと呟いた。