妬こうよ、そこはさ。

誰と会うんだ。友達とか?


馬鹿なことを口走ろうとして、みじめに唇をきつく結ぶ。


結んだくせに、それとは分からないように口内だけに力を込めているのだから、自分の情けなさに笑える。


その願望の友達にしたって、男友達だったらどうしよう、と考えているのに。


呼び止められた彼女は気負いなく振り返った。


何も気にしていない様子だった。


それは俺を気にしていないのか、後ろめたくないから気にしていないのか。


……後ろめたくないからだったら、いい。


どんどん沈む思考を振り払う。


俺は少し首を傾げて殊更普通を装って、呼びかけの続きを誤魔化した。


「さっきから着替えしてばかりだけど、どうした。汚れてたとか?」

「…………」


呆然と表情が抜け落ちた彼女に、そうだよな、とひとりごちる。


ごめん、俺もさ、ちょっとないなって思ってる。


呆れられてるに違いない。