妬こうよ、そこはさ。

出かけてくる、なんていかにも怪しげな台詞、精一杯のお洒落(しかも滅多に見ないほど露出度が高い)、挙句、髪を巻いて結い上げている。


俺の記憶が正しければ、あのシュシュは一番のお気に入りで、特別なときにしか使わないのではなかったか。


何でだ。どうしたんだ急に。


髪なんていつも巻かないだろ。適当それすなわち適切と同義なり、とかそういうズボラ一直線な人だろ、君は。


なんでだよ。


……誰の、ために。


ショート寸前の頭は、好きな奴と会うのか、なんて彼女の珍行動を結論付けてしまって、自分の予想に慄然とする。


そんなのは嫌だった。


彼女の好きな人が、俺じゃないのは嫌だった。


それでも、もういい年をした大人が、俺が、小さな子どもみたいに駄々をこねて騒ぐのは、それこそもっと嫌だった。


結局どうしようもなくて、怪しまれないように考えているうちに、言い慣れた言葉が滑り出る。


「行ってらっしゃい。……なあ」