妬こうよ、そこはさ。

「…………来た」


軽い控えめな足音が、カツカツカツ、と規則性を持って近づいてくる。


特徴的で律動的で、彼女は足音まで彼女らしくて無表情だ。


短く一度だけ鳴るインターホン。帰ってきたよ、の合図。


鍵の開く音がした後、ただいま、と、あっけなく彼女は帰ってきた。


「おかえり」


拍子抜けしている俺がいる。


ひどく、安堵している俺がいる。


「うん、ただいま」


再びただいまを言った彼女に、彼女の帰る場所がここで良かったと思った。


「運んでおくから、着替えてきなよ」

「ありがとう」


かさばる荷物を受け取って、リビングに持っていく。


この季節、荷物を整理するのは暖かい部屋が適している。


がさがさ袋を開けて中身を取り出していく。


おやつ、付箋、マグネット、ああそういえば、シャンプーの詰め替えがなかったな。


これだけ買ってたんだから、遅いのも納得だ。


納得、だ。


言い聞かせ、生ものや要冷蔵のものの有無を確かめる。よし、ない。


シャンプーを洗面所の戸棚にしまったところで、彼女の私室の扉が開く音がした。


着替えが終わったようだった。