妬こうよ、そこはさ。

開いた本の内容はすぐに頭に入らなくなった。


習性で指が本を引っかけているけど、目はどうしても文字列を滑る。


内容なんてこれっぽっちも頭に入ってこないくせに、何故か、本を落としたり読むのを止めたりしてはいけない気がした。


根拠なんかないけど、とりあえず勘。そして、俺の勘は悪い状況のときによく当たる。


落とさないように手に力を込めたまま、まんじりともしないで、苦しい息を詰める。


自分の呼吸音にさえ緊張してしまって、低めて潜めて、ゆっくり深呼吸をした。


「…………」


胸のつかえに思考が走る。頭が鈍る。


急いて何度も時計を確認するも、進んでいるのは秒針くらいだ。


溜め息を吐いて、落ち着け、と繰り返して。うるさい心臓を押さえつけて、こらえて深呼吸。


それを三回ほどすると、ようやく長針が傾いている。


そんなふうにして、じりじりと時間が過ぎていった。