唇を噛んで耐える。


そろそろ心臓が限界だ。


「いい、よ」

「ん?」


暑さが引かない私に、彼はわざとらしく首を傾げてみせた。


「もういい。分かった」


困る、のだ。


そんなに好きだと言ってくれるなんて思いも寄らなかったから、その、いろいろと覚悟が足りない。


私にとっては恥ずべき短所と汚点を並べたてられたような感じがするけど、おそらく、彼にとっては、


……可愛い、とか、そういうところなんだと思う。


そして、私は褒められることに慣れていないから、可愛いとか言われると、その。


照れる。


「…………やっぱり、言わないで」


ん、と笑った彼が、あのさ、と私を呼ぶ。


「今すごい可愛い」

「だからっ、言わないで……!」