妬こうよ、そこはさ。

パスタをゆでながら、彼が背中越しに声をかける。


「なあ。もしかして、妬かせようとしてた?」


お手伝いお手伝い、とお皿を並べていた私は、ぎこちなく振り向いた。


「……分かりやすかった?」

「結構。やっぱり妬かせようとしてたんだ」


何だか上機嫌な彼に、胸が不穏にざわついた。


今まで散々冷静に流してきたくせに、今になって表情を動かすなんて不本意だ。


「ねえ、妬いてよ、そこはさ」

「え、なんで?」


あまりにもあっさりしすぎている返答に、そろそろ真剣に異議を申し立てようか、と眉根を寄せれば。


彼はまたもあっさりと、言った。


「俺今回すごい妬いたけど?」

「え」


いつ。いつだ。彼はいつ妬いた。


必死に記憶を再生するも、見つからない。密かに肩を落とす。


「というか、好きだなって思ってるだけじゃ、駄目なの」

「……あんまりよくない」


好きだと思ってくれているなら、嬉しい。


でも、できることなら、言葉も欲しい。


……なんて望むのは、贅沢なのかもしれないけど。