妬こうよ、そこはさ。

「……何でヒノキなの。臭い」

「臭くない、いい香りだ」


パッケージを見た私の率直な感想を、至って真面目に訂正。


「でもそうだな。嫌なら今度一緒に、別のもの買いに行こうか」


うん、とは言えなかった。


彼の言いたいことが分かるほど、

彼の気持ちが必要なほど寂しい状況に私がいると認めてしまうことになる。


二人して買い物に行っちゃって非効率、などとは茶化せなかった。


笑い飛ばせるほど彼は簡単じゃないし、私は強くない。


だから論点をすり替える。


「そもそもいらない」

「何だって」


料理の準備を始める彼の背中に、そっと声をかけた。


「疲れてないから大丈夫。ありがとう」


そうか、と笑う彼に、泣けはしないから、涙の代わりに言葉を見せる。


「あの。私……」

「うん」

「…………ふあん、で」


不安だと言ってみるのは。


ほとんど聞こえないほど小さな小さな、作戦なんかじゃない、本心。