妬こうよ、そこはさ。

三十分も経ったか経たないかというくらいで、彼らしい足音がした。


急いで玄関に向かう。とにかく早く会いたかった。


「ただいま」

「おかえりなさい」


普段は中で待っている私が珍しく出迎えたものだから、彼の切れ長の目が丸くなっている。


「どうした?」


うん、と頷いて顔色をうかがうも、嫌悪は見えない。


ならば、と。答える代わりに発問する。


「何しに行ってたの?」


詮索するのはよくないけど、彼は怒らずに答えた。


「友達に呼び出されて」


框にトンと足を上げる。


「緊急だって言うから行ったのに、全然緊急じゃなかったから帰ってきた」


ごめん、と軽く頭を下げた彼に、もう一つ。


「その人男性?」

「え? 男だけど」


即答して、ああ、と、彼は何かに思い至ったような表情をした。


「本当ごめん、あのさ」

「うん」

「疲れてるかと思って入浴剤買ってきた。お土産」


手に提げていた袋をこちらに差し出す。


彼がお土産という名の小さなプレゼントをするときは、その費用は必ず彼のお金から捻出される。


お土産だし。と言って当然のように二人のお金を使わない。