妬こうよ、そこはさ。

いっそのこと泣けばいいのだろうか。


虚しく考える一人の部屋は、やけに広い。


ソファーに膝を抱えてうずくまる。


膝に額を押し付けて強く目を閉じたけど、涙は湧かなかった。


こんなにもつらいのに、こんなにも寂しいのに、こんなにも悲しいのに、どうしてか。

どうしても、強張る肩は跳ねなくて、ツンと抜ける鼻は正常で、嗄れた喉は悲しみをしゃくり上げず。

痛いほど力を込めたまぶたは震えなくて、嘆く瞳は涙を溜めなくて、わななく唇は慟哭に歪まない。


……泣けない。


それは常なら気にしない、ささいな事実だった。


『女の涙は武器とか言うけど、私には無理』と流せた。

『余計なことで心配させられない』と強がっていられた。


「……どうして」


無声音が落ちる。


どうして、涙が出ないの。


泣けないことはまるで、私が一般的な女性らしさを持ち合わせていないと突き付ける証拠みたい。


可愛げがない人間だとひどく思い知らせるみたいだ。


可愛くなりたいならなればいい。

自分のせいなのを嘆くなど、なんて愚かなんだろう。


矛盾した気持ちを抱えながら、薄暗がりに、一人。


「……ばかみたいね、わたし」


乾いた瞳で自嘲した。