妬こうよ、そこはさ。

「……好きなの? ああいうのが?」

「うん」


駄目だ、振り返ってはくれたけど、勢いよくはない。


心中肩を落としつつ、無表情に頷くことになった。


本をバンと置いた彼が呟く。


「どこがいいの」

「え」


本を乱暴に扱ったことに気を取られていたら、再度質問された。


「どこが、いいの」


ええと、と懸命に頭を働かせる。


「眩しいくらい爽やかなところ」

「他は」

「きらきらしいところ」

「他」

「背が高いところ」

「他」

「……そんな感じ?」


仕方ない、元々好きではないのだ。


こう、長所が見つからないのは必然、必至、当たり前。


身長が高いことなんて旦那さんを好きな理由に被っているけど、仕方ない。


と、いうか。


私は旦那さんが好きなのだから、旦那さんの好きなところを比較するように見てしまうのも、必然、必至、当たり前の事象だ。


「……眩しかったら困るよ」

「まあそうだね」

「結局好きなの、それ」

「おそらくは」


何それ、と呆れているらしい彼を視界の端に捉え、ふむ、と頷きつつ思う。


作戦三は上手くいったんだか違うんだか、よく分からないな。


私が失敗したのが原因だろうか。


では、と次の作戦に考えを巡らせた。