妬こうよ、そこはさ。

抑揚なんかない人が、こんなに驚くのは珍しい。


私も抑揚ないから、あまり人のことは言えないけど。


「ほんとごめん、今朝は俺の当番だった……」

「いいよ。目覚まし止めたの私だし」


何、と。伏せたまつ毛を乱暴に上げて、恨めしげに私を見る。


「あれは君の仕業か」


寝ぼけて止めたんだとばかり思っていた。


などと言うので、


寝ぼけて私を離さなかった、


と言ってみようかと思ったけど、確実に発狂するのでやめておいた。


彼は本当にクールな性格だ、よほど疲れていなければ寝ぼけてあんなことをしない。


せいぜいが寝返りをたくさん打つくらい。


「疲れてるみたいだったから、いいかなって。その代わりお昼よろしく」

「了解。何食べたい?」


器用で料理が得意な彼が腕によりをかけてくれるというのだ、普段頼みにくいものを頼んでみよう。


「じゃあ、ものすごく手の込んだパスタ。あとデザート」

「分かった」


頷いたからには、何かしら美味しいものが出てくるのは確実。楽しみにしていよう。


ああそうだ、ヤキモチはどうしようか。


私は明るい気持ちで今日の予定を考えた。