し・か・え・し



「どこの先生?」


「あたしね地元があっ・・・」


いけない!言うところだった。


隣にいるから聞こえて
バレちゃうところだった。


「内緒」


「内緒かぁ~で?担当は?」


「英語会話」


「えー!!!」


本日2回目のえー!!!の驚き
そりゃ~見えませんよ
あたしが英語とかね。


「その驚きショックだなぁ~」


「いやいや もっと早く知り合ってれば」


「何で?」


「英語苦手だから教えてもらえたのにさ
『貴史くん!
そこのアルファベットは違うでしょ
そこはぁ~AじゃなくてRだよ』
なんてオレの後ろから甘い香りを漂わせて
間違いを指摘して・・・」


「こら!何か変なビデオの見すぎじゃない?
あたしそう言うの嫌い」


思わず言ってしまった。


「冗談冗談 でも
教えてもらいたかったのは事実だよ
あっ!こいつも英語の苦手なヤツの一人
人一倍苦労したよなぁ?健斗」


呼ばなくていいから!!!


「はぁ?何?」


神野くんは隣の雪子と話していたのに
こっちの話に入ってきた。


「美里ちゃんさ~
英語の先生になるんだってよ」


「ふーん偉いんだぁ~」


「そんなに言われるほど偉くないけど」


昔から好きだっただけ。


昔から・・・小学時代から
中学も好きだったから
みんなよりは出来ていた
覚えてないか。


この人あたしのことを
【バカ】というレッテルを貼った男だから。