Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

そして、ゆっくりとそのかんざしを受け取ると、
無表情だった市の顔が徐々に緩んでいった。


「…あ…ぃがと……おね…ちゃん」


消え入りそうな小さな声…。

しかしそれは、紛れもなく市の声だった。


由羅からもらったかんざしを握りしめる市は、にっこりと微笑んでいた。


「市…、お前…声が……」

「…たいせづに…するねっ…」


その変わらない笑顔に、由羅は自然と涙が溢れた。