Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

由羅は、今でも忘れられなかった。


…だが、そのせいで由羅と間違えられ、連れ去られた市。


市を助けるために、市の目の前で人も斬った。


あのときのことがきっかけで、市は声が出せなくなった。


こんなかんざし1本で、市に付けられた心の傷が癒えるわけではない。


しかし由羅は、なにかせずにはいられなかったのだ。



市は、差し出されたかんざしを不思議そうな顔で見つめる。