Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

だからこの町へこれないのも、次の町へ移動することになったからだと由羅は説明した。



「…そっか。寂しくなるわね…」


竜之助の母親は、由羅の手をそっと握る。


由羅も見つめ返すと、目の端に市の姿が写った。

そして、由羅はゆっくりと市に近づく。


「…市。最後にお姉ちゃんから、これを市にあげるね」


そう言って由羅は、キキョウの花の形が付いているかんざしを手渡した。