Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

義秀に由羅の正体を知られて以来、菊葉の城下町には移動商店は出していなかった。


…いや、出せるわけなかった。


おそらくこれから先も、もうこの町で店を出すことは…ない。



「…ごめんなさい。また次の町へ行かなければならなくなって…」

「…あら、そうなの。それは残念ね…」

「はい…。なので、もうここへは……」


もともと、町を渡り歩いて商売をしているという“設定”だった。