Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

…由羅には筒抜けだった。


由羅の研ぎ澄まされた聴覚は、あらゆる物音や声を聞き分けることができた。


…だが本音を言うのなら、…その義秀の言葉だけは聞きたくなかった。


嘘でもいいから、「報酬をやろう」。


…そう聞こえてほしかった。



主君を信じて、死んでいった竜之助。


家族のために。


そう思って、竜之助は“影武者”という危険極まりない仕事を引き受けた。