颯は鞍馬の掟を守り、忍として生きる由羅よりも、竜之助の隣で笑っている由羅であってほしかった。



「…由羅、お前は自由だ」


そう由羅に微笑みかけた颯は、ゆっくりと目を閉じた。


強く由羅を抱きしめた腕の力は次第に緩み、由羅の腕の中で、颯は眠るように息を引き取った。


「颯っ…」


…もう由羅の声に、颯からの返事は返ってこない。


由羅は颯を抱きしめて、声を殺しながら涙を流した。