塀の上で、様子を眺めていた颯が下りてきた。


「べつに。ただ、最近腕が落ちてきた気がするからだ」

「これだけの人数を一瞬でやっちゃうのに、腕が落ちてるだって?ほんとに由羅は、真面目だなーっ」


そのとき、2人は背後に気配を感じて、瞬時に振り返る。


見ると、1人の兵が刀を杖代わりにしながら、よろよろと立ち上がろうとしていた。


「…おのれ、黒蝶めっ…」