「ありがとうございます」


由羅は陽蔵に頭を下げると、高殿から出て行った。


その由羅の後ろ姿を、目を細めて見つめる颯…。



「…由羅!」


月明かりの下、家へ向かう由羅のあとを颯が追いかけてきた。


「どうした、颯?」


由羅が振り返ると、そこには険しい表情の颯がいた。


「なんで…依頼を降りるんだよ」


颯が呟くように言った。


「…だから、私は体調が優れなくてー…」