「それじゃあ俺は、市を家に連れて帰るよ」

「そうか。そのあとは、城に戻るのか?」

「ああ。こんなことがあったときくらい市のそばにいてやりたいけど、城で働くのも家族のためだしな」


そう言って、竜之助は市をおぶって行った。

その後ろ姿を、由羅は愛おしそうに見つめていた。



この一部始終をだれかに見られていたなんて、…由羅は気づきもしていなかった。