Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜

「噂に聞いたことがある…。音もなく相手の肉を切り裂き、気づいたときにはあの世…。そんな完璧な殺しをするヤツがいるとな…」


黙って、男を見下ろす由羅。


「本当の名前はだれも知らねぇが、人々はそいつをこう呼ぶ…」


男は、唾をごくりと呑む。


「…“黒蝶”とな」


その睨みつけるような男の視線は、しっかりと由羅を捕らえていた。


べつに、姿を隠していたわけではないが…。